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2013年5月21日 (火)

写真展「東京湾岸のねこたち」archives Vol.002

2010年キヤノンギャラリーででの展示作品から。

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東京湾岸にある遊休地。

この年は、予算の関係からか、夏草が刈られず荒れ放題だった。
夏草の森は深く、餌場のある歩道と、塒のある場所との行き来もままならない。
それでも多くの猫は、自ら踏み固め自然発生的に出来た「けもの道」を急ぎ足で行き来していた。

しかし、、、

臆病なのか、面倒くさいのか、
いつしか群れの中の1匹だけがフェンスの細道を歩くことを覚えた。

習性を知ってしまえば、後はひたすらチャンスを待つだけ。
しかし、人の気配を感じると「さっ」とフェンスから降りてしまうし、
暗くならないとフェンスの上を歩かないので、そう簡単には映像化できなかなかった。

何度も待ちぼうけを食らった後、チャンスは不意に現れた。

夜の帳が降り、もう肉眼でははっきりとした事象を捉えられない時間、
「そろそろ今日も撤収だな」と諦めかけた頃。
確かに何かが一瞬、フェンスの上を動いた感じがしてケーブルレリーズのボタンを押し続けた。

半信半疑で液晶画面を確認すると、少しブレた猫の姿が鮮明に浮かび上がった。

出港する貨物船、ススキに当たるトラックのヘットライト、ギリギリ猫だと判る被写体ブレ。
全て偶然だと言えばそれまでだが、偶然を必然にするのが写真の醍醐味なんだ。

今ではここの風景も一変した。
そして、フェンスを歩く猫も、今はもう記憶と映像の中にしかいない。

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